僕の親孝行



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僕の親孝行はとても返せそうにないほど、大きな親孝行になりそうだ。

 

それほど、僕は両親には迷惑をかけた。

 

兄が優秀だったから、欠陥品の僕は昔から肩身が狭かった。

 

とにかく、僕は人付き合いが下手だったのだ。家がド田舎の山奥だったから友達が遊びに来るのも一苦労だったし、僕も友達の家があまりにも遠くて学校が休みになっても遊びにも行かなかった。


 兄は社交的で友達はたくさんいたけど、僕は自分の殻に閉じこもって、ますます人付き合いが下手になった。

 

子供だから失敗して当たり前なのに、友達と接する機会が少ない僕は、その少ない機会を失敗するわけにはいかないと無駄に力だけがいつも入っていた。

 

でも、ちっちゃなプライドが邪魔をして、少ない機会でも緊張して、失敗して、さらに自分を自分だけの固い殻に追い詰めた。

 

思春期にもなり、どんどん両親にも心を開かなくなり、自分の住んでる山奥を憎んで、どんどん故郷を嫌いになった。

 

この場所さえ離れれば……こんな田舎にさえ住んでなければ……

 

自分の弱い心は見ないふりして、住んでる故郷のせいにして、僕を大事に育ててくれた両親のせいにして…

 

僕は故郷を捨てて街に出た。

 

育ててもらった恩を忘れ、自分だけで育ったふりをして、僕は街に無理やり馴染もうとした。

 

でもそこは、両親のように僕を毎日心配してくれる人はいなくて、僕がいなくなっても何も困らない人たちで溢れてて、田舎者の僕を利用する人は最初だけ僕に優しくして、その結果、僕は全てを失った。

 

お金も家も全て失った僕は、もう何も価値がないはずだ。

 

もう生きる意味さえないはずだ。

 

自暴自棄になってた僕を、何も価値がないはずの僕を…

 

両親は小さな子供の時と変わらず受け入れてくれて、今も大事にしてくれてる。

 

自分に何も価値がないと思ってたのは僕だけだった。

 

両親には今の何もない僕でも、赤ちゃんの時と同じように光り輝いて見えてるのかも知れない。

 

だから、僕が元気で生きてるだけで、親孝行になってるのかも知れない。

 

 

僕が気付いてなかっただけで、僕は生まれた時から、ずっと親孝行をしてたのかも知れない。