Amazonプライムで映画を見た。
「ザ·スーパーマリオブラザーズ·ムービー」
これを見た。
普段は、シリアスとかサスペンスとか、そんなことを題材にドラマや映画を見ることが多いんだけど、これは去年大ヒットしたと聞いてたし、やはり日本が生んだスーパーキャラクターのマリオの映画で、いろいろな所で、かなり宣伝してたからミーハーな俺はまんまと釣られて見たのである。
見て思ったのは、とにかくCGの出来の凄まじさ。もちろんマリオの姿はゲームの中のマリオのままなんだけど、眉毛がアップになると一本一本が精密に描かれてあったり、口の動き、顔の表情が、まるで生きてる人間かのようにリアル。
いや、アニメのようなキャラクターはキャラクターなんだけど、体の部分部分の描き込みが生き物みたいにリアル。本当に不思議な感覚を覚える出来栄えだ。
ゲスな俺は、どれほどの手間と予算をかけたのかと考えると、この予算のかけ方は、日本はまだまだハリウッドには敵わないなと思った。
でも、他の部分では日本の映画は決して負けてないと思うが、この予算面では今はハリウッドに軍配が上がるだろうな。
マリオ映画の制作費は130億円で、日本の興行収入が140億円みたいだから、日本だけで制作費は回収され、さらに全世界では2039億円の興行収入だったようだ。
この世界でのマーケットがあるから、ハリウッドは予算を膨大にかけれる。この予算の部分がハリウッドに追いついたら、日本映画が世界のトップに立ってもおかしくないとは思う。
日本のキャラクター作りは本当に素晴らしいから。
金の亡者の俺はここにすごく興味がわく。一発でも当たるキャラクターを作れたならば、一生安泰だ。
そう考えて、浮かんだのが、アンパンマン。
日本の誇るキャラクター、アンパンマンが登場したのが、もう50年以上も前だ。それなのに、今でもアニメが放映され、キャラクター商品も好評販売中だ。
もちろん、昔のファンだった子供たちは大人となり、親となり、孫を持つようになってる。そして、何かを子供に見せる時に、安心してアンパンマンを見せるのだ。ヒーロー、アンパンマンの正義を。
作者の、やなせたかしさんは第二次世界大戦中に従軍経験があり、プロパガンダ制作に関わってた事もあった。そして正義というモノが、善と悪、どちらにも反転する、いかに危ういモノかという事を痛感したようだ。
今の世界でも、空爆する側、テロ行為をする側、どちらにも自分たちの正義があるわけだ。だから、戦いは終わらない。
アンパンマンの作者のやなせたかしさんは、それまでのヒーローの姿に疑問を持ってた。強い力と強い武器、そして最後の強い必殺技。これを用いて、悪と言われる悪党をコテンパンにやっつける正義に。
やなせたかしさんは60代後半までヒットに恵まれず、貧困を経験したから、
「困ってる人に食べ物を届ける。立場や国が変わっても決して逆転しない正義のヒーロー」
という発想に繋がり、アンパンマンを登場させた。
そして、やなせたかしさんにとっての正義とは、
「正義の味方とは、まず、飢えを助ける。食べさせること」
だから、アンパンマンは自分の顔を飢えた人に与える。
これこそが、国や宗教を超える究極の正義だと考えたからだ。
アンパンマンは顔を与える事で自分の力が弱る。顔が雨に濡れても弱くなる。人に顔を与えることで、自分が弱くなると分かってても、それでも飢えた人には顔を与える。自己犠牲の精神だ。そして、自分では顔を修復も出来ずに、ジャムおじさんに助けを求める。
「自分が傷付くことなしに、正義を行うことは出来ない」
これは、やなせたかしさんが、戦争で学んだ持論らしい。
「ヒーローは強いから闘うのではなく、弱くても、闘うのだ!」
しかも、敵の、ばいきんまんと出会っても、いきなり攻撃することはなくて、まずは説得する。そして、アンパンチで追い払ったら、もう追撃はしない。出会った時に悪さをしてなかったら、敵視もしない。さらに、ばいきんまんが困ってたら、手助けすることすら厭わない。
「なぜ、ばいきんまんを捕まえないのですか?」
「ばいきんまんの悪事を止めるのが目的で、やっつけるのが目的ではないからです」
やなせさんは、読者からの質問で、そう答える。
そして、あのワンピースの作者の尾田栄一郎さんはアンパンマンの大ファンだと公言してる。
主人公のルフィはワノ国編でのクライマックスで、
敵のカイドウからこう聞かれる。
「お前が一体どんな世界を作れる?」
そこでルフィは、
「ダチが腹いっぱい飯を食える世界」
こう答えるのだ。ルフィは序盤に出会った少女、おたまに、こう約束をしていた。
「俺たちがこの国出る頃には、お前が毎日腹いっぱいメシを食える国にしてやる!!」
ルフィの中にもアンパンマンのように、飢えた人を助けるという正義が受け継がれてる。
やなせたかしさんは戦争に送り出される時は「正義の戦い」の英雄として送り出されたが、負けたら悪者扱いされ、勝った者が正義となる危うい正義に疑問を持った。
そこで揺るぎない正義とはなんだろうと考え、それは、
「飢えた人を助ける」
この正義は、どんな時でも揺るぎない正義で、どんな時でも逆転しない正義と考えてアンパンマンを作ったのだ。
スーパーマリオを見た後に、俺は興行収入に興味が移り、これはキャラクタービジネスが大事だなとアンパンマンを思い浮かべ、そして最後は得意のGoogle先生で調べて、こんな考察に行きついた。
アンパンマンは本当に深い。まさにこんなキャラクターだからこそ、親から子供に、そして孫へと安心して見せれる作品となってるんだな。
俺は作品は作れないけど、こうやって文章にすることは出来る。せめて、自分の出来ることで、人の為になりたいと願う。
俺はアンパンマンのような、みんなを笑顔にするヒーローにはなれないが、今、困ってる全ての人が幸せになれるように願う事は出来る。
だから、この思いが本当になればいいと、心を込めて書いてみる。