尽くして泣いてる女性に寄り添う


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俺は男だが、好きな人に貢いで尽くして泣いてる女性の気持ちは少しぐらいは理解出来ると思う。

 

なぜなら、俺も1人の女性に尽くして尽くして燃え尽きた経験があるからだ。

相手に貸したり生活を助ける為に渡したお金や、他のいろいろなお金も含めると一千万を超えるお金を相手の為に費やした。

それで相手から大事にされたならば、何も問題はないが、その人の借金を全て背負った上に10年以上毎日のように激しいモラハラみたいな言葉を受けた。人前での土下座強要もされたが、これはれっきとした強要罪という犯罪だ。

殴られるような事は無かったが、腕を爪で引っかかれて血だらけになったことはあるし、太ももに車のキーを突き刺された事もある。

さらに、列車に飛び込めだのビルの屋上から飛び降りろだの自殺を強要された事もある。これは自殺教唆罪、刑法202条にあたり、刑事罰は6か月以上7年以下の懲役または禁錮刑だ。これまた立派な犯罪だ。

 

だから、男性に尽くしてDVを受けてた、あるいは現在も受けてる女性の気持ちは少しは分かるつもりだ。

 

付き合ってる男性に暴力を振るわれても離れずに側にいる女性の心理は、もちろん恐怖心もあるだろうが、相手を愛して尽くすことで、相手が改心してくれるのを信じてる待ってる場合もあると思う。

他には「わたしがこの人を見捨てたら、この人はどうなるんだろう?」そんな捨て犬をほっておけないような母性のような心もあるのかも知れない。

 

これは男の俺の経験に基づく考えだから、女性の心理とは違うかも知れない。

なので、女性に生まれ変わったつもりで考えてみる。本気で女性になったらと考えるので、クドい文章となったらごめんなさい。

 

見える見える、女性となってDV男に尽くしまくる、ジョイ子となったジョージの姿が…

 

多分、俺が山奥暮らしの女の子として生まれたならば、両親はひと気のない山奥の通学路を心配して、大事に大事に送り迎えなどをして箱入り娘として育てられたと思う。田舎の男子は奥手が多いから、ジョイ子はきっと本当の恋を知らずに関西の小さな街に就職したと思う。

俺が女性となっても本当の都会には行かないはず。小心者の田舎者なのは変わらないはずだから、あまり人の多くない小さなパン屋にでも就職するかも。

 

ある日、そのパン屋で運命の出会いが…

 

その人の名はオサム、歳は30歳前後で、ジョイ子の田舎では出会ったことのないワイルドな人。

その人がジョイ子の店にパンを買いに来た。会社の上司へのお土産と言ってたけど、上司の事を「オジキ」と言ってて変な感じ。

 

ジョイ子は「親戚のオジサンが会社の上司をしてるのかな?」その時はそう思ってた。

 

田舎者のジョイ子は、今はまだ気付いてない。この男の素性と、この後、このオサムと稲妻のような恋に落ちる事を…

 

ジョイ子は初めて燃えるような恋をする。オサムの背中一面には立派なサーベルタイガーの模様が入ってても気にしない。何しろ初めての恋だ。ジョイ子にとっては一生の恋なのだ。

付き合った当初から他の女性の影はチラチラしてたけど、オサムの「妹だよ」の言葉をそのまま信じてた。「なぜ、こんなに妹が多いの?」その疑問をオサムに聞いてみたら「実は父親はビッグダディなんだ」と大真面目に答えた。

 

ジョイ子はその言葉も信じ込もうとした。

 

しかし、ジョイ子、さすがに分かってた。オサムの父親はビッグダディではない事を…

 

ジョイ子はついにキレた。「バカバカ!お父さんはビッグダディじゃないでしょ?」オサムをそう問い詰めた。

 

その時初めてオサムから暴力を受けた。ジョイ子の右からのバカバカビンタをかわしながら、オサムの左からのカウンターフックがジョイ子の顎を捉えた。

 

ジョイ子、この時初めてオサムとの別れを考える。

 

しかし、この時すでにジョイ子のお腹の中にはオサムとの新しい命が…

 

そして無事に男の子が生まれる。

 

名前は「雷音」

 

恐ろしい事にライオンと読む。見事なキラキラネームだ。オサムは自分の名前が平凡だったのがコンプレックスだったらしく、ジョイ子の反対を押し切って「雷音」と名付けた。

SMAPの名曲「ライオンハート」からだとか。名前の意味は「ライオンのような強いハートを持って欲しいからだ」と、取ってつけたような理由をオサムが言っていて、この時、ジョイ子は39回目のオサムとの別れを考えた。

 

この頃にはオサムの女遊びはさらに激しさを増した。

 

今日のオサムは後藤親分の誕生日を祝いに行くと言って家を出たけど、麻雀仲間の後藤さんは親分でもないのを知ってる。後藤さんは今日も近所をママシャリで呑気にチラシ配りをしてたから、オサムはきっと他の女のところに行ってるはすだ。

 

もう嘘もかなり適当になってる。でも、まだ、嘘を付いてバレないようにしてるだけでも許せてしまう。ジョイ子だけが気付かない振りをしてればいいだけだ。

 

私には雷音がいる。この子だけが無事に育ってくれたらいい。

 

そんな思いは、しばらくして打ち砕かれる。ジョイ子が大好きなアンミカさんの講演会から家に戻ると部屋の中が何か変だ。オサムと留守番してた雷音に「何かあった?」と聞くと「知らないお姉ちゃんが家に来てた」と答えた。

 

さらにジョイ子が愛用してる紗栄子プロデュース「ボナボチェ」のマスカラが使われてる!!!

 

さすがに許せない!!!

 

バレないようにする浮気になら我慢はしてきたけど、浮気相手を家に入れるなんて、雷音に会わせるなんて。オサムを激しく問い詰めるも、もう言い訳もしない。ジョイ子は本気のバカバカパンチを繰り出すとオサムはジョイ子のパンチをスウェーしながらのハンマーフックをジョイ子の顎に叩き込んだ。

 

それを見た雷音がジョイ子を守ろうとジョイ子にお覆いかぶさる。オサムがジョイ子への追撃の途中で思わず雷音を跳ね飛ばしてしまう。

 

壁にぶつかり泣き出してしまう雷音を抱きしめるジョイ子。

 

この時、別れを考えて209回目にして初めてオサムと別れることを本気で決意したのだった。

 

急いで、ボストンバッグに荷物を詰め込んだ。アンミカの著者「アンミカ流・ポジティブ脳の作り方」と松居一代プロデュースの水ファンデーション、後は雷音の好きなアンパンマンの絵本。とにかく、生きる為だけの必要最低限な物だけ詰め込んだ。

 

しかし、オサムは一切慌てることなく平然とした顔でスマホを見てる。きっとYouTubeで「ロシアンマフィアの喧嘩術」とか「職務質問を無視してみた」とかの動画を見てるのだと思う。

 

ジョイ子は雷音を連れてビジネスホテルに避難した。でも、考えるのはオサムのことだった。「夕飯用にカレーの準備してたのに、きっと作れないだろうな…」とか「あの人のことだから、明日履く蝶野正洋プロデュースのボクサーパンツの場所も分からないんだろうな…」とか、あんなに裏切られて暴力を振るわれたのに、離れてみるとオサムの心配ばかりが頭に浮かぶ。

 

次の朝、ホテルのバイキングで朝食を取ってる最中にもう早くも家に帰ろうと決意するジョイ子だった。雷音は良い子に育って、ちゃんとホテルのスタッフに「ごちそうさま!」が言える。ジョイ子は今だに奈良のシカのような、ぎこちない会釈をするのみだ。

 

さすがに次の日には帰りにくかったが、とにかくオサムの生活が心配だった。玄関を開けると、そこには歌手のJUJUも愛用してるルブタンのピンヒールがあった。もう女性を連れ込んでる…

 

そっとドアを閉めるジョイ子。

 

もう帰る場所はない。雷音と生きていく。雷音を絶対に守る!

 

それからのジョイ子は雷音を育てるためになんでもした。ネットでもお金を稼ごうとブログも開設した。ブログの名前は、

 

「あなたの背中のサーベルタイガー」

 

もう誰にも騙されない。逆に騙してやるんだ。そんな決意から、あえて一番愛して一番苦しめられた人を忘れないようにブログでもオサムの記憶を刻んだのだ。でも、雷音が小さいうちは昼の仕事しか出来なかった。その結果、消費者金融から少しづつ借りてた借金がついに大台に乗ってしまった。

 

そして、雷音が大きくなった時に、ついに夜の世界にデビューしたのだ。

 

その夜のデビューの日に現れた人の名は、

 

「ジョージ」

 

これから、残酷なお金を貢ぐ食物連羅の世界がまた始まる。

 

貢いで尽くして殴られて、そんな女性の心に少しでも寄り添えればと思って書いてたら、なんと、世の中の残酷なお金を貢ぐ食物連鎖の根源に辿りついてしまった。

 

こうやって都合のよい男が生み出されるのだ…

 

でも、好きな人に貢いだり、DV受けても離れずに耐えてる女性は、決して自分を恥じたり、自己嫌悪になる必要はないと思う。

 

傷付いて泣いた数だけ、人の痛みも分かると思うので、絶対にその優しさは誰かに伝わるはずだ。

 

お金を貢ぐ食物連鎖はどこかで終わればいいけど、人に優しくする優しさの食物連鎖はずっと続けばいいな。