ここ数日、なんだか心にポッカリと穴が空いたような日々だ。
なぜかと言うと、大谷翔平選手が結婚したからだ。
俺は男なのになぜだ?
そうだ、自分でも明確な答えが出せない。
しかし、無理矢理、理由を考えると、俺は大谷翔平選手はずっと野球が恋人で現役時代は独身で終えると勝手に思い込んでた。これこそ唯一無二の二刀流が出来る条件であり、この姿こそが野球界のユニコーンだと思ってたからだ。
だから、男なのに大谷翔平の結婚のニュースを聞いてショックを受けたのだと思う。
「大谷さん、普通の人間になってしまうのか…」
そんな勝手な幻想を抱いて応援してたのだ。
しかし、これは俺だけが思っていたわけではなくて、一緒に過ごしてた日本ハムの同僚選手でさえ、
「野球にストイック過ぎるから、翔平は一生結婚出来ないと思ってた」
確か、そんなことを言ってた。
モテなくて結婚出来ないわけじゃない。野球に対してストイック過ぎて女性の影すら見えなかった。
近くにいた人間さえも、翔平にガールフレンドがいるとは思わなかったと皆言ってた。
そんな人間が突然の結婚発表だ。
一体、相手はどんな女性なんだ?
モテモテで結婚しようと思えばいつでも出来たはずだ。それなのに女性の影すら大谷翔平選手の近くにいた人間にさえ見えなかった。
大谷翔平選手は簡単に女性に心を開く人間ではなかったのではないかと想像出来る。
そんな大谷翔平選手の心を開いた女性とは一体どんな女性なのだろう。
俺なんかはちょっと優しくされると、餌を求めるヒナの口のように簡単に心を開いてしまう…
だから、俺は何回も騙されるのだが、大谷さんはモテ過ぎて毎日のように女性に優しくされてただろうに、それでもストイックに野球と向かい合ってた。
俺がもし独身の女性で、大谷翔平と仲良く出来るチャンスがある立場だったら、これはもう人生で最大のチャンスだと思うだろう。
もう、この世でこの人以上の男性に出会える可能性が絶対にないと言い切れるほどの高スペックなのだから。
お金とルックスは多分まだまだ高スペックの男性はいるだろう。しかし、中身だ。
お金を持ってなく、ルックスも悪く、さらにモテなくて誠実な男性は腐る程いると思う。それはなぜかと言うと、内面を磨くしか磨くものが残ってないからだ。
しかし、大谷翔平選手はほぼ全てを持ってて、内面も絶対に誠実だ。
じゃないと、今までに絶対に女の影が見えまくりだったはずだ。
そんな大谷翔平と俺が独身女性として出会ったとしたら、もう全身全霊で思いを伝える!間違いない!一生に一度の出会いだ。もう二度とこんな素晴らしい男性と出会えるチャンスはないと断言出来る!
チョウチンアンコウという魚を知ってるだろうか?
メスは40センチぐらいの大きさになるのに、オスは4センチぐらいの大きさにしかならない。深海ではメスの灯した明かりを頼りにオスはメスを探す。広大な深海においてのメスを探すのは本当に奇跡的なことだ。さらにオスの体は小さいのだ。
せっかくメスを見つけても体の大きさが違いすぎるから、メスを見つけてもついて行く前にはぐれてしまう可能性が大だ。
それを防ぐために、オスはなんとメスの体と合体するのだ。
それは正真正銘の合体だ。メスの体と同化してしまうのだ。メスの体から栄養をもらい、メスの力で海の中を移動する。
まさにヒモ。キングオブヒモになるのだ。
さらに、メスと同化することにより泳ぐ必要が無くなってヒレは退化し、目も見えなくなり、内蔵すらも退化していく…
子孫を残すための精巣だけが残るのだ。
まさに一生に一度の出会いであり、命をかけた恋だ。
チョウチンアンコウのメスはオスにとったら、深海の大谷翔平だ。この出会いを逃しちゃならん!そんな思いで全身全霊で恋をする。
俺が独身女性で大谷翔平と実際に会ったらそんな気持ちになるだろう。
ここで考える。俺の人生、果たして全身全霊をかけ、命をかけるほどの女性に出会ったことはあるだろうか?
いや、出会ったことはない。
そもそも、低俗な自分の欲望を満たそうとしたり弱さゆえの寂しさから逃れようする安易な理由での出会いや告白しかして来なかった人生だった。
いや、違う。
そもそもが相手に何かを求めるのが間違いだ。全て捧げることが出来る女性に出会う前に、自分にやるべきことがある。
それは自分が先に全てをかけたいと思えるような男にならないとダメなんだ。
そんな男になる途中でもいい。俺はそんな崇高な志さえも持った男でないから、全てをかけたいと思える女性に出会えてないのだと思う。
大谷翔平選手は男の俺でさえ、結婚したのを知ってショックを受けた。これが女性だったらショック受ける人が続出するのもすごく納得だ。TikTokでは号泣してる小さな女の子もいたし、80歳のおばあちゃんがショックを受けて孫のLINEを既読無視して落ち込んでる報告もあった。
こんなに皆がショックを受けるということは、それだけ価値のある男性だったということだ。
俺も少しでも、そんな人間に近づきたいと思った。
全身全霊、全てをかけてまで思いを伝えたい人間と出会うには、まずは自分がそんな人間になれるように努力するべきだ。
真理は分かったが、遥か高い山の頂上を目指すが如く長い道のりだから、途中で息絶えてしまいそうだ…