ついに来たか、この日が…
この恋多き失恋モンスターのジョージの恋心を無理矢理呼び起こす、バレンタインデーという日が!
しかし、このブログが来年も続くならば、バレンタインデーについては今年しか書けない。なぜならば、今は全くバレンタインデーとは無関係な人生を送っているからだ。
だから、今回書くバレンタインデーの思い出が最後となるだろう。
思い起こせば、初めてバレンタインチョコを貰ったのは小学校4年生だったと思う。なぜチョコを貰ったかと言うと、その原因は数ヶ月前に遡る…
その時に噂で聞いたのだ。なんと、このジョージに恋心を抱いてるという少女がいるとの噂を聞いたのだ!
しかし、まだ燃えたぎる性の欲も無かった時期なので、あまりピンとは来てなかった。しかし、その子の友達からいろいろと俺に探りが入ったのだ。
「ねぇ、ジョージちゃん。ジョージちゃんはどんな子が好きなん?」
そう聞かれても、あまり上手くは答えられずにいると、
「ヌキ子(仮名)ちゃんどう思う?」
そう聞かれて、さすがに足のカカトぐらい鈍感な俺でもすぐに分かった。俺を好きなのはヌキ子ちゃんなのだと!
しかし、オブラートに包まずに正直に書く。決して馬鹿にしてるわけではない。今のルッキズムに侵食されまくっての感性では決してない。ヌキ子ちゃんを見たまま覚えてるままに表すと、
「おかっぱ頭の佐藤二朗」
誇張なく、ありのままにヌキ子ちゃんはこの姿だったのだ。
そして、ヌキ子ちゃんの友達から体育館の裏の壁を見て!と言われて見に行くと、ジョージとヌキ子の相愛傘の落書きがあったのだ…
オーノー!こんなところで、俺は初めて愛される困惑を知った。
さらに、ヌキ子ちゃんは小学4年生にしてはデカかった。当時で170センチ近くあったと思われる。俺は当時で150センチぐらいだったから、まるで母と子である。
しかし、ヌキ子ちゃんが俺を好きと知ってからは、なんだかヌキ子ちゃんを知らぬ間に目で追ってる自分がいた。いかん、愛を知らなかったジョージが愛に目覚めたのかも知れない。
そして、ついにバレンタインデーにヌキ子ちゃんからチョコを貰ったのだ。しかも、なぜだがヌキ子ちゃんの友達2人からも貰って、合計3個のチョコを生まれて初めて貰ったのだ。
どうしよう…
俺の心はてんやわんやである。何しろ初めて女子からチョコを貰ったのだ。バレンタインデーにチョコを貰うということは、その1ヶ月後にお返しの儀式「ホワイトデー」があるということだ。
どうしよ?どうしよ?
その当時はお小遣いなど貰ってなかったし、何よりヌキ子ちゃんにお返しを渡すということは、これはつまり、愛を受け入れたということになるのではないか?
きっとそうだ、周りからは絶対にそう思われる…
しかし、そうは言ってもヌキ子ちゃんの友達含めて3人だ。これは喜ぶべきこと。オスライオンならば、ハーレムへの第一歩とも言える。
男の甲斐性見せてやるぜ!!
そう思って、俺の隠し財産お年玉からお返しを500円以上の高価な物で3つ分は用意はしといたが、なんと恥ずかしくて渡せなかった…
周りの目があったし、そもそも女子とは気軽に話せなかった男子だったので、ホワイトデーのお返しなど気軽に渡せるポジションではなかったのだ。
ヌキ子ちゃんと友達2人は俺からのお返しがあると待ち構えていたであろう。しかし、俺は学校にお返しを持って行ってたが渡せなかった…
するとどうなったか?
なんと、ヌキ子ちゃん以外の友達2人から催促のマシンガン攻撃を喰らったのだ。
「どうしてお返しないの?信じられない、サイテー!!」
俺は、キムタクばりの「ちょ!待てよ!」
と言えれば良かったが、何も言えず黙って俯くだけだったのだ。
しかし、ヌキ子ちゃんだけは俺を何も責めない。体の大きさが包容力と比例するのかは分からないが、大地のような大きな心で俺を見守ってた。
これが愛か?
これが愛してる者の余裕なのか?
俺は他2人の激しい攻撃に耐えきれなくて、後日、お返しを3人に渡して、なんとか決着したのだった。
それから中学に進むまではヌキ子ちゃんは俺を好きだったみたいだが、俺は中学でサッカー部に入り、軟式テニス部の女子たちにモテるようになって、ヌキ子ちゃんのことはすっかり忘れたのであった。
さすがにおかっぱ頭の佐藤二朗では、テニス部の女子の可愛さには勝てん。
テニス部の短いスカートヒラヒラ〜白い太ももがチラチラ〜飛び散るフローラルの香りに釣られてフラフラ〜
もう俺は恋の色香に惑わせられ周りが見えなくなって、その一瞬のモテ期により俺の元からの性格は破壊され、ドンドン調子に乗り、そしてジョージはとんでもない嫌な奴となった結果、同級生の男子にボコボコに殴られて一瞬でモテ期は終わったのだ。
それも、夏休み終わりにだ。
だから、中学校時代は1個もバレンタインチョコは貰えなかった。
あの夏前のモテ期がせめて、冬まで持ってたならば、俺は本当に意味でのバレンタインチョコを貰えてたのかも知れない。
そして、ボコボコに殴られたのが原因で、俺の性格は一気に暗くなりスポーツ部も辞めて帰宅部となり、高校生時代も氷河期のごとく何もない3年間を過ごしたのであった。
そして高校を卒業してからは、女性に対しての悔しい思いを晴らすべく女性の多い職場に就職したのであった。
そこでは、いつまでも暗くしてちゃ仕事にならんから、自分に無理して自分から女性社員に挨拶をするようになり、そしてお世辞のつもりじゃなかったが、お姉様方に爽やかな世間話をするようにしたら、なんと、ここでは女性から頼られるような存在になってしまったのだ。
しかし、頼られると言っても皆さんかなりの年上だったので、ほとんどの女性が既婚者であり、俺の恋心を満たしてくれる人はいなかった。
旦那が漁師の人がいて、旦那が漁に出てる時に俺の家までチョコを持って来てくれる人もいたが、さすがに不倫は出来ないので何もせずにお帰りいただいた事はあったが、この会社にいた時は毎年20個近くは義理チョコを貰ってたと思う。
この時は本当にお返しが大変だった。
何も恋には繋がらないお返しだが、義理チョコとは言え無視するわけにもいかず、お金だけが消えて行ったバレンタインデーだった。
その後に付き合った人たちからはバレンタインのチョコを貰ったことはあるが、ハッキリ言って、それ以外の思い出の方が強烈過ぎてどんなバレンタインの思い出だったか詳しくは思い出せない…
そう思うと、今でもハッキリと思い出せる小学校時代のヌキ子ちゃんとのバレンタインデーは、これこそが本当のバレンタインデーの思い出だったのかも知れない。
まさか、俺の人生のバレンタインの思い出がヌキちゃんで彩られてるとは思わなかった。
ヌキ子ちゃん、小学校の時に君が俺にくれたチョコレートだけが、今も心の中にバレンタインデーの思い出として残ってるよ。
俺の寂しい人生にバレンタインデーの思い出を刻んでくれてありがとう。
今日のバレンタインデーという日をヌキ子ちゃんが一番大事な人と一緒に幸せに過ごせてるのを、俺は遠くから祈ってるよ。