最近、株式相場を９時から見てるが、父親も株に興味を持って「オラも株やりたい！」と孫悟空のように言い出した。
もちろん、挑戦しようとする気持ちは素晴らしいとは思うが、父親は頚椎を損傷して現在は右手が麻痺しててマウスを上手く操れないのだ。ちょっとクリックしようとするだけでも、クリックする場所を上手く狙えなくて、両手で必死にマウスを操作してる。
しかし、何度も失敗してる。
しかし、父親は諦めない。
自分の株式口座のツールを開くだけでも一苦労だ。父親は今までネットもしたことなくて、パソコンもほとんど使った事はない。
実家はパソコンを昔から持ってたが、それは年賀状を作るためだけに買ったものだ。プリンターもエプソンの高価なものを買っている。
もう１０年以上前に買ったと言ってたが、年賀状を作るためだけなのに、某大手の電器店の店員さんは何も知らない田舎の夫婦に、このパソコンとプリンターを丁寧にプレゼンしたようだ。
これが商売だ！と言われれば、無知なのを恥じるしかないが、パソコンとプリンターで２０万以上の買い物だ。しかし、今調べて見ると年賀状を作るだけなら、２万円以下でいくらでも年賀状が作れるプリンターが検索に引っかかる。
俺の両親は大手電器店の店員さんからの説明で、このパソコンとプリンターでしか年賀状を作れないと思って買ってしまったのだとは思うが、これが世の中の現実だ。
詐欺と商売はまったく違うのは分かってはいるが、最近のニュースで７５才の女性が詐欺グループに２億５０００万を騙し取られたというニュースを見た。
俺は犯人に怒りを覚えるより先に、もう人生も終わりに近づきつつある女性の気持ちを思うと、俺は胸の中を掻きむしられるような悲しい思いが湧き上がる。
被害女性は、今どんな思いなんだろう…
どんな思いで貯めたお金なんだろう…
被害女性の子供や孫、被害女性に優しくしてくれる周りの人に使うならお金が減ったとしても、女性は納得出来てたかも知れないが、詐欺グループの私利私欲のために使われ、もしかしたら「今回は馬鹿な老婆がいた、今日は祝杯だ！」こんな風に馬鹿にして、詐欺グループが大喜びしてるのではないかと想像したら、俺は本当に涙が出そうになる。
なぜ、こんな思い入れが俺の心から湧き出てくるかと言ったら、俺の両親も俺を救う為に何百万というお金を俺に長年モラハラしていた女性に渡したからだ。
俺自身も１０００万近いお金を女性を救う為に出してたが、それでも俺は長年モラハラを受け、さらに女性から逆に借金漬けにされ、屍のような日々を送ってた。
そんな馬鹿な俺を救う為に、両親は一生懸命に働いて貯めたお金を女性に渡したのだ。
俺はそんな事を両親にさせてしまった後悔の思いを持ってるから、詐欺の被害に合った女性と俺の両親を重ね合わせて、俺は涙が出そうになるのだ。
今の一生懸命にパソコンを操作しようとしてる父親を見てると、微笑ましい気持ちと同時に、もし、本物の悪党がこの地域にやって来たら、俺の両親はあっという間に騙されてしまうのではないかと心配にもなってしまう。
高価なパソコンとプリンターを年賀状を作るのに必要だと言われ、何も迷わずに買ってしまうほど、父親と母親は無知なのだ。
まるで、まだオムツをしてる小さな子供を見守るような気持ちでパソコンと奮闘してる父親を見てる自分がいる。
父親を見てると全然違う場所をクリックしてる…
あっ！そこじゃない、思わず手伝いそうになるが、でも、俺が手伝って成功しても意味がない。
父親が自分で出来るようにならないとダメだと思って手伝うのを我慢する。
俺が小さな子供の時は、こんな気持ちで両親は俺を見守っていたのかな？
危なっかしい俺の行動をヒヤヒヤしながら見守ってくれてたのかな？
俺も小さな子供を見守る、そんな親のような思いで麻痺した右腕を使いパソコンを必死に操作してる父親を見てる。
でも、YouTubeを見る方法や、いろいろな動画を検索する方法はまだ教えてないし、教えるつもりはない。
YouTubeは変にエロい動画もあるし、Googleで検索などを教えたら、グロい動画やモロにエロい動画を両親が見てしまう可能性があるからだ。
ここでは思春期の子供を見守る親の気持ちだ。
父ちゃん、母ちゃん、オムツを替えてもらってた赤子がこんな思いを持つ大人になりましたよ。
まだ、まだ恩返しは終わってないから、今度は俺が二人を危ない事から見守るよ。
